こんにちは。ワトル英語塾の山下です。突然ですが、皆さんは、もしこの世から心配事や苦しみが全て消え去るとしたらどう思いますか。例えば、受験、就職、結婚、出産、子育てなど、子供から大人までこの世には考えなければならないことがたくさんあります。私がよく生徒の皆さんから聞くのは、「将来、特にやりたい事は無い」です。おそらく私が高校生の時も同じことを言っていたと思います。もしそんなことを一切心配する必要がなかったら、、、。
そんな世界が題材の小説が、Lois Lowry(ロイス・ローリー)著 「The Giver」(ギヴァー)です。この小説で描かれているコミュニティでは、就職や結婚だけでなく自身の子供ですら全て委員会によって決定され、戦争や些細な喧嘩すら存在しません。その代償として人々は音楽などのあらゆる娯楽が規制されます。つまり「完全な管理社会」です。主人公は委員会より、レシーヴァーという役職を任命されたジョナスという少年です。彼はギヴァーという役職についている老人から、コミュニティの人々が感じることのない、「愛」「憎しみ」「苦しみ」などの感情、そして必要のないものとされている音楽などの娯楽を記憶として受け継ぎ、社会の異常性に疑問を感じるようになっていきます。
私がこの物語を読み終わった時に感じたことは、悩み苦しむことが出来る世界はなんてすばらしいことなんだろうということです。なぜなら、それらを代償として私たちは「自由」を得たと思うからです。この本を読む皆さんは、物語のクライマックスでとても不思議な、驚くべき感覚を覚えるでしょう。それは、活字から「色」を感じることです。おすすめの一冊です。ぜひ読んでみてください!